遺言書は書かれていますか?
遺言書は作成した方がいいと言われても、作るのは腰が重いという方も多いのではないでしょうか。
なぜ遺言書が必要なのか
遺言書を作成する目的は、作成される方の状況により様々です。今回は3つを紹介します。
相続人同士が相続財産をめぐって揉めることを避けるため
遺言書がないとき、亡くなった人の財産を誰が何をどのように分けるのか、相続人同士で話し合います。
遺産分割協議といいます。相続で揉めやすいのは、この遺産分割協議のときです。
自分が亡くなった後、ご家族が相続財産をめぐって揉めてほしくはない。自分が揉めごとの原因を残さないようにしたい。
そのために、事前に相続財産の分け方を決めておくのが遺言書です。
ただ、遺言書を作ったからといって揉めないわけではありません。遺言書が揉める原因になることもあります。
揉めないためには、遺言書をつくる前にご家族で話し合い、納得したうえで遺言書を残すことが必要になります。
相続手続きをすぐに始めることができる
亡くなった人の預貯金の払い戻しや名義変更、自宅の土地・建物の名義変更をするためには、遺言書または遺産分割協議書のどちらかが必要になります。
相続財産が多い少ないにかかわらず、財産の名義変更は人が亡くなったら行うことです。
遺言書がないと遺産分割協議をすることになります。しかし遺産分割協議をすぐに行うことが難しい場合があります。
例えば、相続人に認知症の方がいらっしゃるとき。この場合、家庭裁判所に代理人となる人を選任してもらうことになります。
代理人が選任されるまで、時間と手間がかかります。そのため、遺産分割協議がすぐに行えず、遺産分割協議が終わるまで財産の名義変更をすることができません。
相続税対策のため、お孫さんを孫養子にしているときもあります。
亡くなったときに、お孫さんが未成年で、お孫さんの親権者も相続人のときは、家庭裁判所に代理人を選任してもらう必要があります。
財産を引き継がせたい人が相続人以外にもいる
財産を引き継がせたい人が相続人以外にいる場合は、遺言書を残しておかないと、その人に財産を引き継ぐことはできません。
相続人以外の人は、遺産分割協議に参加することができないからです。
遺言書だけでは足りないもの
書店にはさまざまな「エンディングノート」が並んでいます。お住まいの市区町村でも配っていることもあるのではないでしょうか。
エンディングノートは、自分のことを記録して、家族や周りの人に自分のこと、自分の希望を伝えるノートです。
書きたいときに、書きたいことを書くことができるので、気楽に始めることができます。遺言書と比べると、エンディングノートは敷居が低いですね。
エンディングノートは、遺言書のような法的な効力はありません。
それでもエンディングノートがクローズアップされるのは、自分の人生の道のり、経験してきたこと、自分の思いを残したい、伝えたい。そんな思いがあるのだと思います。
遺言書は、亡くなった後の財産の分け方、誰に何をどのように引き継ぎたいのかを書いておくものです。
人生で残すのは、財産だけではないはずです。自分の人生の道のり、経験してきたこと、自分の思いを残すのがエンディングノートです。
遺言書とエンディングノートはセットで
遺言書とエンディングノートは、それぞれの役割があります。どちらかだけではなく、両方残すのがおすすめです。
エンディングノート、遺言書を書くのはまだ早いと思っていても、相続はいつ起きるか分かりません。
準備をしていない状態で、相続が突然きたときほど、自分の思いは伝わらない、残りにくくなります。
自分の財産はこれから変わっていきますし、人生の道のり、経験はこれからも積み上がっていきます。
伝えたい、残したいことも変わっていくかもしれません。そのときは、更新していけばいいのです。
現在地を確認して、これからの人生をよりよいものにする。それが遺言書とエンディングノートの目的です。
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