お子様、お孫さんに贈与を考えていらっしゃる方もいるのではないでしょうか。
贈与するときの注意点をご紹介します。

贈与した証拠を残す

贈与は財産を渡す人、受け取る人の双方の意思がないと成立しません。
渡しました、受け取りましたという双方の意思が必要です。

例えば、祖父が孫の預金口座にお金を振り込んでも、それだけでは贈与があったことになりません。
渡した人、受け取った人、双方の意思が必要です。
贈与は口頭でも成立しますが、税務上は贈与があったという事実を明らかにしておく必要があります。
贈与があったことの証拠として贈与契約書を作成し、渡す人、受け取る人が署名捺印をします。

さらに受け取った財産は受け取った人が管理する必要があります。
渡した人が通帳や印鑑を管理していると、たとえその口座が受け取った人の名義になっていても贈与にはならず、渡した人の財産とみなされる可能性があります。

先ほどの例でいうと、祖父が孫名義の預金通帳や印鑑を管理していると孫への贈与ではなく、祖父の財産とみなされかねません。

生活費や教育費には贈与税がかからない

贈与税は贈与を受けた財産に対してかかりますが、贈与税がかからない財産もあります。
配偶者、親、子、祖父母、孫、兄弟姉妹などの扶養義務者から、生活費や教育費に充てるために贈与を受けた財産には贈与税はかかりません。
例えば、祖母が孫の学校の入学金を出した場合は贈与税はかかりません。

ただし、贈与税がかからないのは「必要なときに・必要な金額」の場合でなければいけません。
生活費や教育費という名目であっても、受け取った金額を預金していたり、別の用途に充てると贈与税がかかることになります。

住宅購入資金、教育資金、結婚・子育て資金のために一度に大きな金額を贈与するときは、贈与税の特例が使えるか検討してみましょう。
贈与税の特例は次のようなものがあります。

教育資金
贈与する人親、祖父母
贈与を受ける人30歳未満の子、孫
贈与財産教育資金
非課税枠1500万円(学校以外は500万円)
相続税との関係贈与した人が亡くなったときに残額があると原則相続税がかかる
適用期間令和8年3月31日まで
住宅取得等資金
贈与する人親、祖父母
贈与を受ける人18歳以上の子、孫(令和4年3月31日以前は20歳以上)
贈与財産自宅の購入資金
非課税枠家屋の区分により最大1000万円(令和4年1月1日以後の贈与)
相続税との関係相続税がかからない
適用期間令和5年12月31日まで
結婚・子育て資金
贈与する人親、祖父母
贈与を受ける人18歳以上(令和4年3月31日以前は20歳以上)50歳未満の子、孫
贈与財産結婚・子育て資金
非課税枠1000万円(結婚資金は300万円)
相続税との関係贈与した人が亡くなったときに残額があると相続税がかかる
適用期間令和7年3月31日まで

不動産の贈与は他にかかる費用、相続税への影響の検討も必要

賃貸不動産をお持ちの方は、お子様やお孫さんへ賃貸不動産の贈与を考える場合もあるでしょう。
不動産を贈与すると、贈与税以外にもかかる費用があり、不動産は金額が大きいことが多いため負担が重くなりがちです。
かかる費用は、登録免許税、不動産取得税、登記手続きに司法書士へ支払う費用などで、これらの費用は贈与を受けた人が支払います。

また相続のときに使える小規模宅地等の特例が贈与のときは使えなかったり、計画的に贈与しないと相続のときに評価額が高くなってしまったり、と検討することが多くあります。
不動産の贈与を考えているときは、税理士へ相談してみることをおすすめします。

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