遺言書を作成する方は徐々に増えていますが、まだまだ馴染みが薄く、「自分には関係ない」と感じている方も多いのではないでしょうか。

ご相談を受けている中で、「遺言書を作成されていたらよかったのに」と感じる場面や、「作成をおすすめしたい」と思うケースがあります。

遺言書の作成をおすすめしたい方

相続対策や相続税の申告のご相談を受ける中で、遺言書を作成しておくとよいと感じるのは、以下のような状況にある方です。

ご自身やご家族に当てはまるものはあるでしょうか。

  • 子どもがいない
  • 相続人が1人もいない
  • 相続人の人数が多い
  • 内縁の配偶者(妻・夫)がいる
  • ご自身の死後、配偶者の生活が心配
  • 相続人の中に行方不明の方がいる
  • 相続人の中に認知症の方がいる
  • 事業を継ぐ予定の子どもがいる
  • 財産の多くが不動産
  • 子どもたちの経済状況に差がある
  • 再婚などにより家族関係が複雑
  • 子どもたちの関係がよくない
  • 相続人以外の方に財産を渡したい

このような事情があるご家族では、相続発生後に財産の分け方をめぐってトラブルになったり、トラブルまでには至らずとも相続手続きに大きな労力がかかってしまうことが少なくありません。

該当する方には、遺言書の作成をおすすめいたします。

遺言書は自分で作成できる?

遺言書にはいくつかの方式がありますが、よく利用されているのが「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」です。

自筆証書遺言は、遺言者ご本人がすべての内容を手書きで記載する方式です。全文・日付・氏名を自筆し、押印する必要があります。なお、財産目録部分はパソコンなどで作成しても差し支えありません。

この方式は費用をほとんどかけずに作成できますが、書き方の不備や記載ミスにより無効になってしまうリスクや、紛失・改ざんの恐れがある点に注意が必要です。

公正証書遺言は、公証人が作成する遺言書です。遺言書をつくる人と公証人との事前打ち合わせにより内容を確定させた上で、公証役場で作成されます。打ち合わせはメール、FAX、郵送、公証役場訪問などの方法で行うことができます。

公正証書遺言は、公証人という法律の専門家が作成するため、形式不備で無効になる心配がなく、また家庭裁判所での「検認」が不要ですぐに相続手続きに進むことができます。原本は公証役場に保管されるため、紛失や改ざんの心配もありません。

一方で、公証人への手数料が発生します。費用は遺産総額に応じて変動し、通常は数万円〜数十万円程度になります。

せっかく遺言書を作成するのであれば、確実に効力のある形で残すためにも、公正証書遺言の作成をおすすめしています。

遺言書の作成をサポートする専門家

遺言書の作成にあたっては、専門家にサポートを依頼することも可能です。
専門家には、弁護士・司法書士・行政書士・税理士などが含まれます。

特に公正証書遺言を作成する場合には、公証人に支払う費用に加えて、専門家への報酬も必要となりますが、内容の検討や書類の準備など、きめ細かな支援を受けることができます。

たとえば、相続税が発生する可能性がある場合には、相続税額や納税資金を踏まえたうえで、遺言内容を検討する必要があります。
相続税は、「誰が」「何を」相続するかによって、税額に大きな差が生じることもあるためです。

「何をどう考えればよいか分からない」「資料集めや手続きが手間」「自分ひとりでは不安」といった場合には、専門家のサポートを受けることもぜひご検討ください。

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